足の後遺障害
下肢とは股関節から下の部分、私たちがふだん足とよんでいる部位のことをいいます。立ったり歩いたり、運動したりするためには欠かせない大切な部位です。それだけに交通事故のケガが原因で足が不自由になったり、足の一部(または全部)を切断することになったりすると、日常生活にさまざまな支障をきたすことになります。
ここでは足の後遺障害について紹介します。
機能障害
股関節に代表される関節などをケガした結果、足の機能の一部(全部)が失われてしまうことがあります。
このように事故のせいで下肢の機能に障害が残った場合、障害の重さに応じて後遺障害等級が認定されます。
- ・1級6号
両下肢の用を全廃したもの - ・5級7号
片方の下肢の用を全廃したもの - ・6級7号
片方の下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの - ・8級7号
片方の下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの - ・10級11号
片方の下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの - ・12級7号
片方の下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
下肢の「下肢の用を全廃した」とは、下肢の3大関節(股関節・膝関節・足関節)の一部またはすべてを動かせなくなった状態をいいます。さらに足の指を動かせなくなった場合も含まれます。
次に、「関節の用を廃したもの」とは、関節や関節の筋肉が動かせなくなった、あるいは人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち可動域が正常な側の1/2以下になってしまった場合をいいます。
一方、「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、関節の可動域が正常な側の1/2以下に制限されている場合あるいは人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が正常な側の1/2以下になっていないものをいいます。
そして、「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が正常な側の可動域の3/4以下になっているものをいいます。
欠損障害
足の一部または全部を失った場合は、欠損障害という形で後遺障害等級が認定されます、
- ・1級5号
両足をひざ関節以上で失ったもの - ・4級5号
片方の足をひざ関節以上で失ったもの - ・4級7号
両足をリスフラン関節以上で失ったもの - ・2級4号
両足を足関節以上で失ったもの - ・5級5号
片足を足関節以上で失ったもの - ・7級8号
片足をリスフラン関節以上で失ったもの
足関節とは、いわゆる足首のことをいいます。
またリスフラン関節とは、足裏の骨(足根骨、中足骨)の間にある関節をいいます。
変形障害
ケガのせいで足の骨が変形して矯正器具が必要になったり、足の片方だけが短くなってしまったりすることもあります。こうした変形障害でも後遺障害等級が認定されます。
このとき認定される可能性のある後遺障害等級は以下のとおりです。
- ・7級10号
片足に偽関節(骨がうまくくっつかない部分)を残し、著しい運動障害を残すもの - ・8級5号
足の片方が5センチメートル以上短縮したもの - ・8級9号
片足に偽関節を残すもの - ・10級8号
足の片方が3センチメートル以上短縮したもの - ・12級8号
長管骨に変形を残すもの - ・13級8号
足の片方が1センチメートル以上短縮したもの
足指の障害
足の指を根本から失った場合も、失った指の種類や本数に応じて後遺障害が認定されます。また、足の指の骨の一部を失った場合や足の指の関節が固まって著しい運動障害が起きた場合も「足指の用を廃したもの」として後遺障害等級認定の対象となります。
- ・5級8号
両足の足指の全部を失ったもの - ・7級11号
両足の足指の全部の用を廃したもの - ・8級10号
片足の足指の全部を失ったもの - ・9級14号
片足の第1の足指を含む2以上の足指を失ったもの - ・9級15号
片足の足指の全部の用を廃したもの - ・10級9号
片足の第1の足指または他の4の足指を失ったもの - ・11級9号
片足の第1の足指を含む2以上の足指の用を廃したもの - ・12級11号
片足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含む2の足指を失ったもの、または第3の足指以下の3の足指を失ったもの - ・12級12号
片足の第1の足指または他の4の足指の用を廃したもの - ・13級9号
片足の第3の足指以下の1または2の足指を失ったもの - ・13級10号
片足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を含む2の足指の用を廃したものまたは第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの - ・14級8号
片足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃したもの
足の後遺障害に関する相談は弁護士に
足に後遺障害が残った場合、歩行が困難になるなどさまざまな支障が生じます。つける職業に制約が生まれるなどの理由から、経済的に影響を受ける場合もあるでしょう。
後遺障害等級は賠償金の金額にも関わってくるため、適切な認定を受けられるかどうかは事故後の生活にも大きく影響します。
きちんとした補償を受けるためにも、事故にあった場合は弁護士にご相談いただければと思います。