運転者が急病で意識を失っていた場合、被害者は損害賠償請求できるのか |千葉船橋の交通事故に強い弁護士

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運転者が急病で意識を失っていた場合、被害者は損害賠償請求できるのか

多発する運転中の急病による交通事故

自動車事故は、運転ミスによる事故もありますが、運転者が運転中に急病になり、意識不明状態になってしまい、歩行者をはねるなどの交通事故を起こしてしまうこともあります。
また、認知症などにかかっている高齢者が自動車を運転して交通事故を起こしてしまう事案も社会問題になっています。
このような形の交通事故だと、被害者が死亡したり、大けがを負うなどの重大な交通事故になりがちです。
このような場合、被害者は、加害者である運転者に対して、損害賠償請求できるのでしょうか?
 
結論から言うと、運転者が運転中に急病になって意識を失ったことにより交通事故が起きた場合も被害者は損害賠償請求できます。
 

民法713条と自賠法3条

まず、民法713条には、「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。」と定められています。
運転者が運転中に病気などで意識を失った場合は、民法713条の規定に該当するため、運転者は、歩行者をはねてしまったとしても、被害者である歩行者に対して損害賠償責任を負わないということになります。
 
では、被害者はこのような場合、泣き寝入りするしかないのでしょうか?
もちろん、そんなことはありません。
このような場合に、自賠法(自動車損害賠償保障法)には、次の規定が置かれています。
 
自賠法3条「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。」
 
自己のために自動車を運行の用に供する者のことを運行供用者と言います。
例えば、タクシーの場合は、運転者がお客さんを乗せてタクシーを運転することにより、タクシー会社が利益を得ているわけですから、タクシー会社が運行供用者ということになります。
そのため、タクシーの運転者が運転中に急病で意識を失い、歩行者をはねるなどの交通事故を起こした場合は、タクシーの運転者自身は損害賠償責任を負わないとしても、タクシー会社は運行供用者として、被害者である歩行者に対して損害賠償責任を負うことになります。
 

運転者=運行供用者の場合、民法713条と自賠法3条のどちらが適用されるのか

では、自家用車を運転している人が運転中に急病で意識を失い、歩行者をはねるなどの交通事故を起こした場合はどうでしょうか?
 
自家用車を運転する場合、運行供用者は、運転者自身ということが多いでしょう。
すると、運転者には、民法713条と自賠法3条の両方が適用される状態になります。
つまり、民法713条によって、運転者は、被害者である歩行者に対して損害賠償責任を負わない。
一方で、自賠法3条によれば、運転者は、運行供用者として、被害者である歩行者に対して損害賠償責任を負うわけです。
 
この場合、どちらの規定が優先して適用されるのかが問題となります。
この点については、大阪地裁や東京地裁で判例が出ています。(大阪地判平成17年2月4日、東京地判平成25年3月7日)
 
裁判所は、このような場合、自賠法3条が優先適用されると解しています。
被害者である歩行者は、運行供用者たる運転者に対して、損害賠償請求ができるということです。
 
なぜ、このように考えるのかと言うと、次の様な理屈によります。
例えば、自家用車に、運転者と運行供用者の二人が乗っていたとしましょう。
そして、運転者が急病によって意識を失い、歩行者をはねるなどの交通事故を起こしたとします。
このような場合、運転者は民法713条によって免責されますが、運転を任せていた運行供用者は自賠法3条によって、被害者である歩行者に対して損害賠償責任を負うことになります。
このように、運転者と運行供用者が別人だと、被害者は運行供用者に損害賠償請求できるのに、運転者と運行供用者が同じ人だと、損害賠償請求ができないとすれば、不合理です。
 
また、自賠法の目的として次のように定められています。
 

自賠法1条

この法律は、自動車の運行によつて人の生命又は身体が害された場合における損害賠償を保障する制度を確立するとともに、これを補完する措置を講ずることにより、被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に資することを目的とする。
 
つまり、自賠法は、人身事故被害者の救済を目的とした法律であることから、可能な限り、被害者が損害賠償請求できる解釈を採用すべきだと考えられているわけです。
このような考え方から、裁判所は自賠法3条を優先適用するという考え方を採っているわけです。
 

加害者側の免責主張を鵜呑みにしない

自動車を運転していた加害者が急病にかかっていた。
認知症の疑いのある高齢者だった。
と言う事例だと、加害者側は、責任能力がないことを理由とする免責を主張してすることがあるかもしれません。
しかし、被害者としては、自賠法上の運行供用者責任を追及することで、損害賠償請求できる可能性があります。
 

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