交通事故で頭部外傷により発症する高次脳機能障害とは |千葉船橋の交通事故に強い弁護士

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交通事故で頭部外傷により発症する高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは

交通事故で追突された場合、被害者は頭を打ってしまうことがよくあります。頭を打つと、脳がダメージを受けてしまう可能性があります。
脳がダメージを受けることにより発症する障害を高次脳機能障害(器質性精神障害)と言い、次の様な症状が出た状態を指します。
 

認知障害……新しいことを覚えられない。気が散りやすく集中できない。計画的な行動ができない。複数のことを同時に処理できない。話が回りくどく要点を相手に伝えられない。といった記憶障害、注意・集中力障害、遂行機能障害などのことです。
 
行動障害……周囲の状況に応じた適切な行動がとれない。職場や社会のマナーを守れない。行動を抑制できない。危険を予知して回避する行動がとれないなどの障害です。
 
人格変化……交通事故前と比べて自発性や気力が低下した。又は衝動的な行動をとるようになったり、怒りっぽくなったり自己中心的になった。といった発動性低下や抑制低下がみられる状態です。

 
こうした障害は、脳外傷によるびまん性脳損傷や局在性脳損傷(脳挫傷、頭蓋内血腫等)を原因として発症すると考えられています。
 

高次脳機能障害の特徴

高次脳機能障害は、交通事故直後の急性期には重篤な症状が発現していても時間の経過とともに軽減傾向を示す場合がほとんどだとのことです。
そのため、後遺障害の認定は、急性期の神経学的検査結果に基づくべきではなく、経時的に検査を行って回復の推移を確認するべきとされています。
高次脳機能障害が後遺した場合は、社会生活適応能力が低下し、就労や就学が制約され、日常生活も制限されてしまいます。重傷者では介護が必要になることもあります。
 
また、高次脳機能障害は見過ごされやすい障害とされています。診療医でさえ急性期の合併外傷に気を取られていて、気づかないこともありますし、被害者の普段の言動を知る家族も意識が回復すれば、その他の症状もいずれ回復すると考えてしまうからです。また、被害者本人に問いかけても、自己洞察力が低下していることから、症状を否定することもあります。
 

自賠責保険での高次脳機能障害の認定

自賠責保険で高次脳機能障害が認められるかどうかは、
 

  • 1、脳の器質的損傷を裏付ける交通事故後の画像所見
  • 2、交通事故時の意識障害の有無や程度と持続時間
  • 3、認知障害、行動障害、人格変化などの障害の有無

 
この三つを総合考慮して判断されます。
 
具体的には、次のような資料を提出します。
 

  • ・交通事故発生の直後から後遺障害の症状が固定するまでのCT、MRIなどの画像検査資料。
  • ・交通事故の前後での被害者の日常生活、就労就学状況、社会生活がどのように変化したのかの報告書。診察した医師のほか、家族や介護している人からの報告も重要になります。
  • ・交通事故で受傷した当初に意識障害があったかどうか、その程度や症状経過を把握するために救急搬送時の記録、転院の際の連絡文書などの情報。

 
自賠責保険では、高次脳機能障害の認定は、「特定事案」と位置付けて、専門医などにより詳しく審査されます。
この審査は、かなり厳格なため、被害者の症状が高次脳機能障害に該当していても、資料が不足しているために、高次脳機能障害と認定されないこともよくあります。
実際の症状に見合った障害等級認定を受けるためには、医師に被害者の症状を正確に把握してもらい、漏れのない診断書を作成してもらうことや、脳外傷の医療知識と障害等級認定要件に詳しい弁護士に相談することが重要になります。
 

高次脳機能障害の等級認定

高次脳機能障害の等級認定は、自賠責保険と労災とでは若干異なります。
 
自賠責保険では、障害認定基準、補足的な考え方により、別表第一1級1号、2級1号、別表第二3級3号、5級2号、7級4号、9級10号のいずれかに認定されます。
具体的には次の通りです
 

別表第一

1級1号……神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号……神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

 

別表第二

3級3号……神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号……神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号……神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号……神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

 
一方、労災では、就労者の労働能力喪失の有無が焦点となるため、意思疎通能力(記銘、記憶力、認知力、言語力等)、問題解決能力(理解力、判断力等)、作業負荷に対する持続力・持久力、社会行動能力(協調性等)の4つの能力について喪失の程度に着目して評価されます。
具体的には次の通りです。
 

1級……高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
2級……高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの
3級……生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの
5級……高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの
7級……高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの
9級……通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
12級……通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの
14級……通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの

 
高次脳機能障害の等級認定は、神経精神症状等に関する医師の意見書や家族による日常生活状況報告書によって判断されます。
これらの資料は被害者側の主観的な資料と言えるため、実態と乖離している場合もあります。
被害者側としては、より高い等級認定を目指すために、症状を演技していることもあるようです。
そのため、裁判において、高次脳機能障害の等級認定が争われる事例では、自賠責保険の認定等級よりも下位の認定に変更されてしまう事例もあります。
自賠責保険で3級3号に該当していたのに、裁判の結果、9級10号とされてしまうことも実際にあります。
高次脳機能障害の症状は時間的経過により軽快する傾向があるため、加害者側としても、高次脳機能障害の残存を否認しやすいことも押さえておく必要があります。
 

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津田沼(船橋市、習志野市)で、交通事故の被害に遭われた方は、津田沼総合法律事務所へご相談ください。
被害者の方が、交通事故で頭部打撲による傷害を負ったことで、高次脳機能障害を発症してしまった場合は、高次脳機能障害の認定を受けるために詳細な資料を提出する必要があります。
そのためには、医師と弁護士が協働して、資料を用意していく必要がありますから、早めに弁護士にご相談ください。

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