交通事故後ケガは治ったのに痛みが続く 複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは |千葉船橋の交通事故に強い弁護士

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交通事故後ケガは治ったのに痛みが続く 複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは

複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは

交通事故により、複合性局所疼痛症候群(CRPS、Complex Regional Pain Syndrome)になってしまう方もいます。
例えば、交通事故による受傷の治療は終えたにもかかわらず、患部のしびれ、焼けるような痛み、腫れが引かない、皮膚の色が異常なまま治らない。といったような慢性的な症状が続く場合です。
より細かく分けると、次のように分類されます。
 

CRPSタイプ1 RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)

画像診断などで明確な神経損傷がないのに上記のような症状が続く場合。
 

CRPSタイプ2 カウザルギー

画像診断などで神経損傷が確認できる場合。
 
CRPSは、医学でも診断基準が確立されていないうえ、その原因も分からず、治療方法も確立していません。
痛みなどは患者にしか分からないため、医師でも診断が難しいうえ、後遺障害認定も難しい症状です。
目に見えにくい後遺障害として問題になっています。
 

複合性局所疼痛症候群(CRPS)の後遺障害認定

労災保険、自賠責保険の後遺障害等級表の「神経系統の機能又は精神の障害」には、疼痛等感覚障害が掲げられています。
これはさらに、受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害と特殊な性状の疼痛に分類されています。
CRPSは特殊な性状の疼痛として7級、9級、12級に分類されます。
 
カウザルギーの場合は、

1、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び日内変動
2、疼痛の原因となる他覚的所見

によって、後遺障害等級認定を行います。
痛みについては患者の自己申告によるしかありませんが、画像診断などでその原因と見られる神経損傷が確認できるため、後遺障害等級認定も比較的容易とされています。
 
一方、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の場合は、

1、関節拘縮
2、骨の萎縮
3、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)

これらの症状が健側と比較して明らかに認められる場合に限り、後遺障害等級認定を行います。
つまり、痛みがあるだけでは、後遺障害等級認定が受けられないということで、大変認定が難しくなっています。
 

CRPSの後遺障害等級表

第7級4号……神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第9級10号……神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
第12級13号……局部に頑固な神経症状を残すもの
 

医師がCRPSと診断しても、後遺障害認定を受けられるとは限らない

CRPSの認定基準は、主に、

1、労災保険法に基づく障害認定に用いられる労災基準
2、厚生労働省研究班による日本版CRPS判定指標
3、国際疼痛学会が求めた診断基準

の3つがあります。
 
このうち、2と3の認定基準は、臨床目的の診断基準です。
医師が患者の治療を行うに当たり、CRPSと診断して、今後の治療方針を決めるためのものです。
治療の結果、後遺障害がどの程度残るかは、はっきりとは分かりません。
一方、交通事故の後遺障害認定は、「将来にわたり、症状が持続する蓋然性が求められて後遺障害が残ったと評価しうるに足るCRPSを発症した」と認めるための基準です。
そのため、上記で示したように、RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)の場合でも、関節拘縮、骨の萎縮、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)が健側と比較して明らかに認められる場合に限り、後遺障害等級認定を行うものとされています。
このような判断を行うことについて裁判所も「自賠責保険における等級認定基準が慢性期の主要な3症状が明らかに認められる場合に限定していることは一定の合理性を有する」と解しています。(平成30年3月23日判決交民51巻2号366頁)
 
つまり、医師が患者の治療方針を決めるために、CRPSと診断しても、自賠責保険や労災保険では、必ずしも、CRPSとして後遺障害認定を行うとは限らないということです。
交通事故の被害者が、自賠責保険でCRPSが認められなかったために、裁判所に訴えを起こしたとしても、CRPSと認めてもらうことは非常に難しいです。
ただ、全く認められないわけではなく、裁判所も「自賠責保険における等級基準に該当しない場合に、なお、後遺障害が残ったと評価しうるに足りるCRPSを発症したというためには、慢性期の3症状を中心としつつ、これには当たらないものの日本版CRPS判定指標及び国際疼痛学会の診断基準において指標とされた疼痛、感覚(痛覚)過敏、発汗異常、浮腫(腫脹)、血管運動障害(血管拡張、血管収縮等)等の症状の有無、程度のほか、その他の諸事情を総合評価した上で、将来にわたり症状が持続する蓋然性がある」かどうかにより判断すべきとしています。(平成30年3月23日判決交民51巻2号366頁)
 
つまり、関節拘縮、骨の萎縮、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)の3症状が認められない場合でも、総合評価して、将来にわたり症状が持続する蓋然性があるのであれば、後遺障害認定を受けられる可能性があるということです。
そのためには、医師に診断書等を書いてもらう際に、単にCRPSに該当するとの診断だけでなく、様々な症状から、将来にわたり症状が持続する蓋然性が高いとの診断を得ることが肝要と言えるでしょう。
 

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医師の診察を受けて、CRPSとの診断を受けた場合は、後遺障害等級認定を受けられる可能性もありますから、早めに弁護士にご相談ください。

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