交通事故による頚髄損傷(脊髄損傷) |千葉船橋の交通事故に強い弁護士

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交通事故による頚髄損傷(脊髄損傷)

交通事故による頚髄損傷(脊髄損傷)とは?

交通事故の際に最も受傷しやすい部位が頸部です。
頸部の受傷のうち、軽度の損傷がむち打ち症。
重度の損傷が頸髄損傷(頸部脊髄損傷)になります。
しかし、医師が頸髄損傷と診断し、被害者自身も頸髄損傷による症状の残存を訴えていても、後遺障害等級認定では頸髄損傷が否定されることもあります。
頸髄損傷などの脊髄損傷は、必ずしも交通事故によって生じるとは限らないためです。
例えば、推間板ヘルニアなどは、交通事故前からの既往症だったり、経年性変化である可能性もあるためです。
また、脊髄損傷というと、寝たっきりになって、治らないと思いがちですが、受傷直後はともかくとして、経時的に改善することも多いようです。
こうしたことから、頸髄損傷などの脊髄損傷の後遺障害等級認定は難しいのが実情です。
 

交通事故による頚髄損傷(脊髄損傷)の争点

交通事故の被害者が脊髄損傷を負った可能性がある場合は、次のような争点が生じます。
 

そもそも脊髄損傷があると言えるのか

脊髄損傷が存在しているのかどうかは、画像診断などによりシビアに判断されます。
例えば、医師が中心性頸髄損傷と診断していても、後遺障害認定に際しては、中枢神経である脊髄損傷が見られるのか、末梢神経である神経根の損傷に過ぎないのかを確認します。
 
裁判所も「脊髄損傷に関する医学的知見」として、次のように判示しています。
 
脊髄損傷の診断は、主に神経学的所見及び画像診断に基づいて行われ、これらの所見の整合性が重視される。
脊髄が傷害されると障害髄節に反射弓のある深部腱反射は消失又は低下する。
脊髄損傷による完全麻痺の場合は、障害髄節以下の反射、運動、知覚が脱失する脊髄ショックの状態となった後、ショック期(受傷後1日ないし3週間)を過ぎると、障害髄節以下の反射は亢進し、痙性麻痺が生ずる。
これに対し、不全麻痺の場合は、受傷時に障害髄節以下の何らかの運動機能や知覚が残存し、深部腱反射の異常もみられることが多く、脊髄損傷による神経障害は受傷直後が最も悪く、経時的に改善することが多い。
画像診断としては、X-P検査により、骨折や脱臼の有無が判定されるほか、MRI検査において、脊髄内の輝度変化があるかどうかが重要である。
輝度の高低と麻痺の程度、範囲の強度との間には相関関係があることが一般的である。
高度の麻痺を認める脊髄損傷例では、脊髄内に輝度変化が見られることが多い。
脊髄の不全損傷では、MRI画像上明らかな輝度変化が見られない場合もあるが、そのような症例は神経症状が軽症で改善することが多い。(平成30年3月15日判決自動車保険ジャーナル2022号35頁)
 
つまり、画像診断から外傷性異常所見が認められなかったり、MRI画像上、髄内輝度変化等の明らかな脊髄変性所見が認められない場合は、脊髄損傷が生じているとは認められないということです。
このような場合は、後遺障害認定では頸髄損傷が否定されてしまいます。
 
上記の判例の事例は、バイク同士の衝突事故により、被害者が転倒し頸椎捻挫、全身打撲の傷害を負ったという事例でしたが、画像診断からは脊髄には異常が確認できないとされ、交通事故により脊髄損傷を負ったものとは認められないと判断されました。
被害者には、両下肢筋力低下、歩行不能、膀胱直腸障害等の神経系統の後遺障害が残存しているにしても交通事故との関係を裏付ける他覚的所見は存在しないものとされました。
その上で、適応障害やうつ病の診断がなされていることから、非器質性精神障害として後遺障害14級に相当するとの判断がなされました。(平成30年3月15日判決自動車保険ジャーナル2022号35頁)
 

交通事故との因果関係があるのかどうか

脊髄損傷が生じていることが画像診断などから確認できたとしても、脊髄損傷が交通事故によって生じたのかどうかも問題になります。
もともと、加齢に伴い椎間板ヘルニアや頸椎脊柱管狭窄症が生じていて、交通事故をきっかけに症状が確認できたにすぎない可能性もあるためです。
被害者側としては交通事故により損傷が生じたと主張しても、加害者側が加齢に伴う既往症であるとして争うこともあります。
 

後遺障害の評価の問題

交通事故により脊髄損傷が生じたという因果関係が認められたとしても、後遺障害評価も問題となります。
交通事故直後は、脊髄損傷の症状が認められたとしても、常に予後が悪いわけではありません。
時間が経過すれば症状が改善することも多く、症状の残存が認められるのかどうか。
残存があるにしても後遺障害として、どの程度の評価になるのかが争われます。
 
また、交通事故前から脊髄関係の既往症などがある場合は、素因減額が適用されることもあります。
例えば、被害者が交通事故前から広範囲の脊柱管狭窄症、椎板の術後変化、椎間板変成等の既往症があって、鎮静化していたものの交通事故をきっかけに、重篤な神経障害が生じた事例で、これらの既往症が大きく影響しているとして、40%の素因減額とするのが相当と判断した裁判例があります。(平成29年10月19日判決交通民事50巻5号1300頁)
 

交通事故の法律相談は津田沼総合法律事務所へご依頼ください

津田沼(船橋市、習志野市)で、交通事故の被害に遭われた方は、津田沼総合法律事務所へご相談ください。
交通事故の被害に遭うと頸部を受傷することが多く、軽度の場合でもむち打ち損傷、重度の場合は、頸髄損傷(頸部脊髄損傷)に該当している可能性があります。
しかし、頸髄損傷(頸部脊髄損傷)は、上記で述べたように、加齢に伴う椎間板ヘルニアや頸椎脊柱管狭窄症と言った既往症と絡むことで、複雑な問題も生じがちです。
交通事故により、頸部に何らかの傷害を負われた方は、早めに弁護士にご相談ください。

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