交通事故の示談交渉における「非弁行為」のリスクと対策 |千葉船橋の交通事故に強い弁護士

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交通事故の示談交渉における「非弁行為」のリスクと対策

示談交渉は法律事務なので本来は弁護士にしかできません。
しかし、交通事故の現場では、保険会社が示談交渉を代行するのが一般的です。
保険会社による示談交渉はそもそも非弁行為ではないのでしょうか?非弁行為とは何か?
保険会社が示談交渉できないケースについて解説します。
 

交通事故の示談交渉は自分で行うのが原則?

交通事故により被害者が骨折などの怪我を負った状況は、被害者から見ると、加害者の故意又は過失によって権利又は法律上保護される利益が侵害された状況にあり、民法上は、加害者の不法行為によって、怪我を負わされた状況にあります。
民法709条には、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められていますが、実際の損害賠償請求は、被害者が被害の状況等を主張したうえで、加害者に対して直接請求するのが原則です。
 

交通事故では当事者同士の交渉は難しい

しかし、交通事故に遭遇した場合、当事者同士の交渉は難しいことが多いです。
まず、被害者側は、大ケガを負わされた場合、入院していることが大半ですし、退院後も満足に動ける状況ではありません。
一方、加害者も交通事故の状況次第では、逮捕され、身体拘束を受けてしまうため、被害者に謝罪に出向くこともできません。
仮に、当事者が自由に動ける状況だったとしても、適切な示談金の額が分からず、交渉が難航することもあります。
こうした事情により、交通事故の示談交渉は交通事故の当事者以外の人たちが担う状況になっています。
 

交通事故の示談交渉は法律事務

交通事故の示談交渉は、被害者側が加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求を行うもので、どちらの立場に立つにしても、法律事務に該当します。
そのため、弁護士法3条に基づき、弁護士の職務になりますし、弁護士以外の人が報酬を得る目的で示談交渉を行うことは、弁護士法72条に抵触する非弁行為に該当します。
 

非弁行為とは

非弁行為とは弁護士法72条に抵触する行為のことです。
弁護士法72条によると、弁護士又は弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、法律事務等を取り扱い、又は周旋をすることを業とすることができない。とされています。
 
「弁護士又は弁護士法人でない者」とは、司法試験合格後に司法修習を経て、弁護士登録をしていない者という意味です。
司法試験に合格しただけで弁護士登録を受けていない人は、この要件を満たしていないため、法律事務を扱うことはできません。
 
「報酬を得る目的で」とは、文字通り、有償で法律事務の委任を受けることです。
そのため、無償で法律事務を行うことは、非弁行為に当たりません。
ただ、法律事務とは別の名目で法外な報酬を受け取っている場合は、実質、有償になるので非弁行為に当たる可能性があります。
 
「周旋をすることを業」とするとは、ブローカーのような立場であっせんすることです。
弁護士でない人が法律事務を受けて、実際の仕事は弁護士に回し、報酬を中抜きするような行為は、非弁行為に当たります。
 
なお、被害者や加害者本人が自分の法律事務を処理することは、非弁行為ではありません。
そのため、被害者や加害者本人、あるいは家族といった身内が示談交渉を行う分には非弁行為に当たりません。
 

保険会社による交通事故の示談交渉の代行は非弁行為ではないのか?

交通事故の示談交渉は、任意保険会社の担当者が担うケースが多いです。
ただ、任意保険会社の担当者は、ほとんどの場合、司法試験にも合格していませんし、弁護士登録も受けていません。
また、任意保険会社は弁護士法人でもありません。
では、保険会社による示談交渉の代行はなぜ認められているのでしょうか?
 

かつては任意保険会社による交通事故の示談交渉の代行は認められていなかった

1970年頃は、交通事故の示談交渉は弁護士のみに認められており、任意保険会社の社員等が手を出すことはできませんでした。
そのため、現在でも、年配の方の中には、任意保険会社による交通事故の示談交渉の代行が違法だと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
 

任意保険会社による交通事故の示談交渉の代行が認められている理由

現在では、任意保険会社による交通事故の示談交渉の代行は非弁行為に当たらないとの見解が確立しています。
被害者への治療費、慰謝料などの示談金は、本来、加害者自身が支払うべきですが、加害者が任意保険に加入している場合は、加害者側の任意保険会社が代わりに支払う立場にあります。
つまり、加害者側の任意保険会社は、加害者と並ぶ当事者と言ってよい立場にあるため、加害者と同様に示談交渉ができるという理屈です。
 

任意保険会社が示談交渉の代行を行えないケース

交通事故でも保険会社が示談交渉を行えないケースもあります。
 

加害者に過失がない、過失割合が0の場合

加害者側の任意保険会社が示談交渉を行うことができるのは、任意保険会社が示談金を支払うべき立場にある場合です。
そのため、加害者に示談金を支払う義務がない場合は、任意保険会社が示談交渉の代行を行うことはできません。
もっとも、自動車の交通事故において、自動車の運転者である加害者の過失割合が0で被害者側が100になるケースはほとんどありません。
被害者側の過失が重くても、加害者側にも一定の過失が認められるケースが大半なので、任意保険会社が示談交渉を行えるケースがほとんどです。
 

被害者側のもらい事故、被害者に過失がない場合

被害者側の立場で過失がない場合は、保険会社が被害者側として示談交渉を行うことはできないのが一般的です。
例えば、赤信号で停車中、後ろから追突されたというようなもらい事故のケースでは、被害者側となり、過失はありません。
こうしたケースでは、被害者側の保険会社は、示談金を支払う立場にないため、被害者に代わって示談交渉を行ってしまうと非弁行為に該当してしまいます。
 

まとめ|任意保険会社が示談交渉を代行できない場合は弁護士に依頼しよう

任意保険会社が示談交渉を代行できない場合は、交通事故の当事者が示談交渉を行うのが原則ですが、適切な額の示談金を請求したり、後遺障害等級認定を受けるためには、交通事故に関する法律知識や経験が必要です。
法律に詳しい友人に無償で交渉してもらったり、家族や親族が示談交渉を代行することは非弁行為ではありませんが、十分な示談金を受け取れない可能性もあります。
ましてや、「示談屋」もしくは「事件屋」といった怪しい人たちに依頼すると法外な費用を求められてしまう危険があります。
保険会社の示談交渉サービスを利用できない場合は、迷わず、交通事故問題に詳しい弁護士に相談しましょう。

交通事故解決のために大切なのはスピードです。

迷っている方も、まずは一度お電話ください。